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 1990年代半ば頃から始まるインターネットの普及。当初は、低コストだが通信品質が悪いと見られ、今日のほどまで普及するとは思われていなかった。しかし、現実は大方の予想をはるかに超えて、さまざま活用方法が生まれた。ネット上での単純な広告はもとより、検索連動型、アフィリエイト型広告、さらにツイッターやフェースブックなどのソーシャルメディアと進化していった。
 こうした流れに拍車をかけたのが、ITの進歩でもあった。大量のデータを分析できるようになった。テキストや画像などの数値データ以外も分析対象になる。
 こうした変化の結果、もはや必ずしもテレビや詩誌による広告がメジャーではない状況に直面している。
 ただし、ひとつのメディアが単独ですぐれているのではなく、互いに相関しながら顧客の深層心理に刷り込まれていく。
 私の仕事仲間の友松さんはそうしたメディア間の関係性をデータで解明し、どのメディアにはどれくらいの費用を掛けていくべきかマーケティング活動の最適解を導く仕事をしている。



 一方、ひとつひとつのメディアでのコミュニケーションは、本質を見抜き分かりやすい言葉で昇華できるかどうかが鍵となる。
 広告宣伝はひらめきの世界のように見えるかもしれないが、ひらめく前に何を伝えたいか、本質を見極めていることが必須条件である。本質を見抜くことには定石はないかもしれない。あるときは悩みに悩んだ結果思いつことなのかもしれないし、あるときは市場調査の積み上げで気づくことなのかもしれない。
 そうした確信を得たのは、ルートエフ株式会社の名刺を長友先生にお願いしたときである。割烹料理店で随分と話し込んで、私の経験、私のしたいことなどを聴いて頂き、できあがったのがユニークなロゴと名刺だった。
 さらにクリエイティブ・ディレクターの柴田さんと提案書をつくり、コンサルティング×コミュニケーションを実践してみようとする。その過程でも、本質の見極めと、それを伝える分かりやすいメッセージは鍵だった。
 いずれにしても、本質を見抜き分かりやすい言葉に転換するプロセスは、戦略の仕上げであり、クリエイティブなプロセスである。




株式会社リンクエス 代表取締役社長
柴田常文 しばた つねふみ
 
株式会社キープオンデザイン 代表取締役
竹内謙太郎 たけうち けんたろう
 
マーケットシェア株式会社 EVP、Managing Director
友松重之 ともまつ しげゆき
 
株式会社ケイツー 代表取締役
長友啓典 ながとも けいすけ
 


あした・ゆたかに・なあれ
世界文化社 2010年