ただ、アジアでのM&Aはそんなに簡単なことではない。
言葉が違う。英語でもないので、情報収集が容易ではない。もちろん、日本ではありえない規制や、制度になっていないにせよ、政府方針などに大きく影響されることになる。
同時に、交渉は比較的馴染んでいる欧米のロジックではなく、アジアの国々のそれぞれ独特のロジックによるものになる。異なるバックグランド、異なる文化を持つ交渉相手にどう対応していくかが成功のカギとなっている。
たとえば、かつて台湾で買収支援の手伝いをしたことがある。買い手(日本側)と売り手(台湾側)の意思疎通はなかなかとれない。そのときは英語で交渉していたのだが、双方とも英語が堪能な人材であってもなかなか意が伝わらない。私の役割は、日本側のバックグランドを台湾側のFAに説明して質問の意図を分かりやすく売り手に伝えてもらうことだった。
経営コンサルタントの役割として、異なるバックグランド、異なるカルチャーを持つ人々を結びつけていく仕事が増えている。もちろん、私もそうした仕事にどっぷりつかっている。 |