top
top2


 少し前になるけれど、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」が大ヒットした。主人公の女子マネージャーは野球チームに経営手法を当てはめていくことになる。  
 経営といえば、企業の経営を指すものだとばかり思い込んでいると、実はどんな組織に対しても成り立つものであることを図らずも訴えている。  
 私が経営コンサルティングを始めた80年代半ばは、クライアントの多くは国際化を進めていた製造業だった。それから、金融機関が加わった。独占企業体も規制緩和の結果、競争が進展し、経営するということの重要性が高まった結果、クライアントになった。  
 今、私が大阪府・市の特別参与になってアドバイスをするようになったのも、自治体自身が経営を意識するようになったからでもある。  
 明らかに、世の中において経営が求められる組織が増えている。



 一方、そうした組織の経営者は孤独である。いつの時代であっても悩みのない経営者はいないと思う。
 特に、今の時代は先が読めない。人口減少・成熟化はもとより、金融市場には世界中でミニバブルが起きては少なからぬ影響を与えている。政治的なリスクも至るところで顕在化している。
 身近なところにも変化はある。若い世代の動機づけ、女性の活用、外国人社員が働けるマルチカルチャーの職場づくり。会社のあり様が、変わりつつある。
 さらに、経営者のガバナンス能力や責任は、株主や社会から強く求められる時代になった。
 そうした経営者の悩みに応えていこうと思い、私は経営コンサルタントとして仕事をしている。



 ところが、経営者は当事者である。当事者であるがゆえに、一般的な意味において業務にもっとも精通しているはずである。同時に当事者であるがゆえに、思い込みや成功体験から抜け出せずないこともある。
 経営者のために客観的な視点を提供していくことが、経営コンサルタントの仕事である。経営コンサルタントの提供する情報にもとづいて、経営者がよりよい意思決定を迅速にできるようになれば、経営コンサルタント冥利に尽きることになる。



 私が大学を卒業した時分は、数学は純粋なアカデミックな存在であった。少なくとも、日本で経営に現場で数学を活用する機会はなかった。 80年代後半から金融工学が実用化されるようになり、最近ではマーケティング・サイセンスの分野でも実績のあがるモデルが現実に生まれるようになった。
 私は専攻こそ数学だったが、経営の現場に数学的な考え方が持ち込まれるとは思いもよらず、そうした道を究めていくことにはならなかった。ただ、そうした手法をリスペクトすることも含めて、多様なプロフェッショナルとの協働の機会を増やすことに努めている。




有限会社インフォナビ 代表
上野佳恵 うえの よしえ
 
慶應義塾大学総合政策学部教授、大阪府・市特別顧問
上山信一 うえやま しんいち
 
日本リスク・データ・バンク株式会社 代表取締役社長
大久保 豊 おおくぼ ゆたか
 
地域共創ネットワーク株式会社 代表取締役
坂本忠弘 さかもと ただひろ
 



新銀行論
ダイヤモンド社 2004年
あしたのための「銀行学」入門
PHPビジネス新書 2009年
世界をよくする金融学
月刊「ソトコト」にて特集の企画・執筆 2011年
あしたのための銀行学2
ファーストプレス 2013年
人口減少時代の自治体経営改革
時事通信社 2013年
地域金融のあしたの探り方
きんざい 2016年